2017年6月末、日本初の人工知能に特化した展示会「AI・人工知能EXPO」が東京都内で開かれた。そこにはディープラーニングや自然言語処理など、さまざまな人工知能関連技術でビジネスを展開する企業が数多く出展。そのなかから、人間への「優しさ」をキーワードに3つのプロダクトを取り上げる。
ここ数年、国内で開催されるシンポジウムやエキシビションに足繁く通っていると、今年は「商用AI元年」と呼ぶにふさわしいことが実感できる。人工知能(AI)の基礎研究よりも、応用事例がひときわ目立つようになったからだ。
アジラのAIは「人手不足」の救世主となるか
たとえば病院で療養中の誰かが、夜中にベッドで体を起こしたとしよう。それが排尿を目的とする起床か、それとも落下事故につながる危険な状態か──。それを判断すべき立場にある看護士や介護福祉士は、慢性的な人手不足にある。都市部・農村部に限らず、状況が好転する気配はまったくないといっていい。
アジラの行動認識APIは、監視カメラで撮影した人間の姿をAIが分析する。その内容を評価し、たとえば「転倒しそうだ」といったアラートを出す。つまり、24時間の「みまもりサービス」を可能にする。
「AIが人間の仕事を奪うといった意見もありますが、むしろ『ヒトの目の代わりになる』といった効率的なツールとしての活用を期待してほしいのです」と、アジラのCTOである相澤純一は語る。
この技術は人間がなし得ない「不眠不休で働く」というAIの長所を最大限に生かしている。普及すれば「老老介護の果てに起きた悲劇的な事件」といった暗い話題を耳にすることも減るに違いない。言うなれば、優しいAI──ヒトに“福音”をもたらすAIだ。