2018年の世界8大技術トレンド、IHSが予測

2018-07-23

事業改革や技術革新、そして新たな事業機会とその脅威


市場調査会社のIHS Markit(以下、IHS)は2018年1月、2018年に産業界の改革/革新に大きな影響を与える可能性が高いテクノロジーとして、8個のトレンドを発表した。

 IHSは、最新のホワイトペーパーで、技術の新潮流と最新テクノロジーが集約されることによって実現可能となる、事業改革や技術革新の加速、新たな事業機会の創出や新たに生じる脅威などについて、専門家の見解などをレポートとしてまとめた。この中で8大テクノロジートレンドを予測した。

 IHSが挙げた8大テクノロジートレンドは、「AI(人工知能)」「IoT(モノのインターネット)」「クラウドと仮想化」「コネクティビティ」「ユビキタスビデオ」「コンピュータビジョン」「ロボットとドローン」そして「ブロックチェーン」である。

【トレンド1】AI――オンデバイス型とクラウド型

 AI技術は、スマートフォンや車載システム、ヘルスケア機器などで活用が進む。特に、クラウド型AIは、ディープラーニングアルゴリズムを活用することで、データ分析の処理性能は高い。半面、プライバシーや反応時間、安定性に課題があるという。これに対して、スマートフォンなどに実装されたオンデバイス型AIは、これらのリスクや課題を軽減することが可能になると述べている。

【トレンド2】IoT――接続のための選択肢をさらに強化

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 IHSは、IoT対応機器の普及台数が2025年に世界中で730億台に達すると予測する。こうした中で、エッジコンピューティングとクラウド分析を強化させるのは接続性の進化だという。その一例として、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術を挙げた。

 エッジ側で収集されるマシンビデオやユビキタスビデオといった新種のデータを効率よく、低コストでクラウド側に伝送し、データを解析および分析する必要がある。接続のための選択肢を広げることが、IoTの成長を後押しすることになるという。さらに、データ分析にAI技術を適用すれば、製品中心であったこれまでのビジネスモデルをサービス中心型に移行させることができ、収益力の向上につながるとみている。

【トレンド3】クラウドと仮想化――十分な専門知識がなくてもAIを活用

 一般的にAIやマシンラーニングの技術を使いこなすためには、専門的な技術知識が必要となる。これに対して、クラウドサービスを活用すれば、十分な技術知識がない技術者でも、AIを利用したシステムの開発やサービスを行うことが容易となる。

【トレンド4】コネクティビティ――5G商用サービスで新たな展開

 「5G(第5世代移動通信)商用サービス」の開始は、ネットワーク環境を一変させることになりそうだ。モバイルネットワーク企業やインフラプロバイダー、関連機器メーカーなどにとっては事業機会がさらに拡大する。利用形態も従来の音声通信やデータ通信の用途に加えて、さまざまなIoTアプリケーションや基幹アプリケーションが新たに登場する可能性が高いという。

【トレンド5】ユビキタスビデオ――車載や産業機器の用途にも拡大

 高画質イメージセンサーを搭載したカメラモジュールの応用が急速に拡大する。スマートフォンへの搭載で一気に需要が拡大したカメラモジュールは、車載システムや産業機器、医療機器などへとその応用が広がっている。しかも、4Kなど高画質対応のイメージセンサーが登場し、データトラフィックは爆発的に増加する。

【トレンド6】コンピュータビジョン――高度化で重要性高まる

 コンピュータビジョンは、産業機器や民生電子機器など多くの用途で重要な技術の1つとなっている。その技術はさらに高度化し、産業用ロボットやドローン、インテリジェント交通システム、高品質監視システム、医療機器、車載システムなどの用途で幅広く活用される見通しだ。

【トレンド7】ロボットとドローン――従来のビジネスモデルを一変

 ロボットおよびドローンの2018年における世界市場規模は、39億米ドル規模に達すると予測している。部材の搬送やピッキング、組み立て、さらには物流、配送など、これまで人間が行ってきた作業領域を、ロボットやドローンに置き換えることが可能になってきた。IHSは、ロボットやドローンが「従来のビジネスモデルを一変させる破壊力を備えている」と述べている

【トレンド8】ブロックチェーン――仮想通貨の中核技術

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 ブロックチェーンは、オープンな金融サービスを実現するための分散型コンピュータネットワーク技術として注目されている。仮想通貨である「ビットコイン」や「イーサ」などを支える中核技術でもある。ブロックチェーンは既に、広告効果の向上や広告詐欺対策、音楽ロイヤルティー支払い分配などのシステムに活用されているという。2018年も引き続きさまざまなサービスが立ち上がる可能性が高いとみている。

原文:http://eetimes.jp/ee/articles/1801/10/news037.html

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